臨床研究の分類

  • 臨床研究とは、人を対象として医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病病原および病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究のことです。
  • 臨床研究は、「介入」を伴うか否かで、観察研究(非介入研究)と介入研究に分かれます。

計画している研究がどの分類に該当するか
わからない場合は、
ヘルスサイエンスR&Dセンターに
お気軽にお問い合わせください。

研究相談・支援の申込み/お問合せ
臨床研究 図

観察研究とは

<通常診療の範囲内>で行ったことについて経過・結果のデータを収集し、解析する研究

観察研究とは、対象とする集団に対して研究者が、治療や指導などの介入をしないで、健康・疾病に関するデータを集めて、その詳細を分析して、新しい知見(診断・治療法等の開発につながる情報や推定していた仮説の確認)を得るための研究のことです。

介入研究とは

研究目的で<通常診療とは異なること>を行い、その有効性・安全性などを検討する研究

介入研究とは、疾病と因果関係があると考えられる要因に対して、研究を意図し積極的に介入をして、新しい予防法、診断法や治療等を試み、従来の予防法や治療等を行うグループと比較して、その有効性を調べる研究のことです。

「介入」とは

研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。
(出典:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針)

治験とは

介入研究のうち、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく医薬品・医療機器の承認を得ることを目的として実施される臨床試験のことを「治験」といいます。

特定臨床研究とは

「特定臨床研究」とは、介入を伴う臨床研究のうち、以下の2つのいずれかに該当する研究であって、治験ではないものを指します。

  • 「未承認」又は「適応外」の医薬品等を用いて行われる臨床研究
  • 製薬企業等から資金の提供を受けて行われる医薬品等の臨床研究

 

「侵襲」とは

研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。侵襲のうち、研究対象者の身体又は精神に生じる傷害又は負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。
(出典:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針)

区分 内容
侵襲

研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害または負担が生じること

【例】
  • 平常時に被る範囲を超える恒常性の変化、健康上の影響等が確定的なもの 発生が不確定な危害可能性は含まない
  • 診療で同様な放射線照射を受けることが見込まれる場合でも研究目的で一定条件を設定して行われるもの
  • 思い起こしたくないつらい大変に関する質問、研究目的で意図的に緊張、不安を与えるなど
軽微な侵襲

研究目的で行われる 日常生活や日常的な医学検査で被る身体的、心理的、社会的危害の可能性の限度を超えない危険で社会的に許容される種類のもので、確定的に研究対象者に生じる傷害、負担の程度が小さいもの

【例】
  • 研究目的で、一般健康診断で行われる採血、胸部X線撮影等と同程度の処置を行う場合
  • 造影剤を用いないMRI映像を研究目的に行い傷害負担が相対的にわずかなもの
  • 診療時の穿刺、切開、採血等に上乗せして研究目的で行う場合追加傷害負担がわずかなもの
  • 質問票に精神的苦痛を生じる内容がある事明示し、匿名回答、回答拒否可能など十分配慮されているもの

<注>16歳未満等を対象にする場合には、傷害・負担が小さくない場合も考慮して判断すること

侵襲なし

上記以外のもの

【例】
  • 診療における穿刺、切開等 および その残余検体を試料・情報として用いる場合
  • 既承認薬を研究目的で投与する場合でも成分、用法・用料により傷害・負担が小さい場合など
  • 非介入前向き研究(転帰追跡など)で研究目的外の診療のための投薬で損害、負担が生じた場合
  • 自然排泄される尿・便・喀痰・汗・抜け落ちた毛髪・体毛等採取、心電図、超音波映像などで負担が生じないもの